卸町店長の千葉です。
5月に入り話題を拾ってきた書籍「粗食のすすめ」からの話も今回をもって完結の運びになりました。仕事柄、何か参考になる書物をと図書館に探しに行きたまたま眼にしたこの粗食のすすめには、穀物の販売業を営んでいるうえで大変、考えさせられたり驚かされたりした本でした・・・
前回は、作者の理想とする食卓の比率が主食を5とし、3.1.1が健康面等において最高だと言う事にふれましたが、今回はさらに理想な季節の献立にふれてもいきたいとおもっております。作者は、お米においてもお勧めのご飯は5分つきだと述べています。
お米を一番の主食としても白米はあまりにも白すぎるので、健康を意識するなら出来る限り精白度の低い米を常食をすすめたいとの事です。
お米は、籾殻を取っただけで精米していないのが玄米で糠が付いたままでして、それを少し精米をしたのが3分つき米で、更に玄米を半分精米をしたのが5分つき米です。
それを更に白くしたのが7分つき・白米となります。玄米が理想ですが、好みの合わない人もいるのでご家族で食するのは難しいでしょうとの事です。7分つきになると白すぎるきらいがありますので5分つき米をおすすめします。玄米をお米屋さんでついてもらうか、家庭用精米機でつく事が出来ます。最近は、スーパー等の一角に精米機を設置しているところもありますので、そこでつく事も出来ます。
その未精米の食することとあわせて、雑穀類を入れて炊かれることを推進します。最近の雑穀ブームに合わせて、スーパー等でも雑穀を販売してきておりますので、以前に比べては手に入りやすくなっては来ています。あわ・ひえ・きび・麦などの雑穀類は、お米にない特徴として、カルシウムや鉄分が非常に多いことが挙げられます。お米は主食として優れた食べ物ですが、さらに栄養的面を充実させるには雑穀類を利用するのがたいへん効率的です。
お米だけでも甘みがあって美味しいのですが、雑穀を入れることにより滋味豊かな味わいを楽しめるので雑穀を取り入れた未精米を主食にして頂きたいと作者は述べておりました。
雑穀と言いましても種類や特徴がありますので、これについては後々ふれていきたいと思います。
作者は、朝ご飯においても理想なくみ合わせを書かれております。
仕事上、作者は病院関係者から食事相談をもされる事があるそうです。相談を持ち込むのは、病院に入院なされている癌を患った方々だそうです。接する患者さんも若年層が増えて来ているとの事、特に乳がんを患う若い世代が増えてきていて20~30歳代も珍しくなくなってきているそうです。病気の原因を食生活で表わすのは無理ですが、その若年層の乳がんを患った患者さんたちの食生活は極めて似ているとの事です。中でも特徴的なのは、朝食にご飯を食べてる人はまれで、パン食の人がほとんどだそうです。国内で市販されているパンにはたいてい砂糖が含まれていて、お菓子に近い状態だとも述べております。パンもよく選ばなければ食品添加物が含まれているのがほとんどだそうです。
そこにバターやマーガリンを塗り、副食にはサラダ&ドレッシングか野菜炒めにハムエッグ等が一般的になっています。季節に乏しく、朝から油だらけの食事になっています。こんな食生活を続けていたら問題が出てきても不思議でないとまで述べております。
一方、ご飯食なら季節の具の入ったおみそ汁や漬物・焼き海苔・納豆が良いとの事、そこにもう一品付け加えるとしたら魚の干物か野菜のお浸しがよいでしょう。 これだと、食品添加物はほとんどなく、油脂や糖分の摂りすぎを心配する必要もありません。朝ご飯とは、文字どうりにご飯を食べる事だと言っています。健康に注意をするならば朝ご飯を食べる。それが食生活改善の第一歩だとも書かれておりました。
そして、最後に作者は粗食についてこう述べられておりました。「粗食のすすめ」を出版してから粗食とは何かと尋ねられる事が増えたそうです。作者が本を出される以前から同様な傾向について書かれた本が「日本料理」・「伝統食・郷土料理」などタイトルはさまざまです。そこで、あえて作者が粗食としたのはこれまでに出版された本が、ハレとケを混同して取上げてきていたことへの違和感を感じたからだそうです。
ハレと言うのは特別な日(祝い事)の食事で、ケとは普段の生活での食事だそうです。
わかりやすく言えば、ハレの食事にあたる天ぷら・茶碗蒸し・御寿司や刺身を取上げる本が目立っていたそうです。もちろん、それらもれっきとした和食ですが、私たちが今日まで生かされてきた食事は、母親が毎日作ってきた物で、御寿司や天ぷらではなく、ご飯・みそ汁に漬物を中心とした季節の野菜料理や豆類・魚介類などを摂る食事です。
作者は、それを抜きにした食事は和食とは言えないと言う意味を込めて粗食と言う言葉にしてみたそうです。そして最後に、美味しいご飯とみそ汁に漬物があれば何もいらない・・・
それこそが、我々が守るべき日本食ではないでしょうか。
「粗食のすすめの」の巻末に、作者が季節の物を使った理想的な食膳の献立を一つの例として取上げていました。これは、あくまでも作者から読者への例として書かれたものですので参考として季節にそった献立を書きます。
春の膳 ご飯(玄米)鰆の味噌漬け・山菜の白和え・らっきょう漬け・じゃがいもと絹さやのみそ汁・番茶
夏の膳 ご飯(7分つき米)鯵のたたき・そら豆の含め煮・茄子漬け・茄子のみそ汁・番茶
秋の膳 ご飯(3分つき米)秋刀魚の胡麻たれ焼・大根の糠漬け・しめじのみそ汁・番茶
冬の膳 ご飯(5分つき米)金目鯛の煮付け・ほうれん草のお浸し・白菜漬け・かぶと油揚げのみそ汁・番茶
以上が作者から読者への参考として載っていた献立の一例です。
これをそのまま真似ろとは言いませんので、あくまでも参考として季節にあった野菜料理やおみそ汁を取り入れた食事に心がけましょう。
5月に渡って取上げてきた「粗食のすすめ」は此れにて完結といたします。この本に出会って、色々な事に気づかされたり考えされたりして、自分自身としては本当に仕事をするうえでいい本にめぐり合えたと思います。皆様の中でも「粗食のすすめに」興味を持たれた方がございましたら、一度、読まれてみるのも宜しいかとは思います。