天候被害と宮沢賢治の童話の世界

卸町店長の千葉です。

8月も最後になり、残暑が厳しい日々が続きます。今年は、関東より以北の地方は雨が少ない季節だったとの事でした。お陰で日照りの日が続き農作物がかなりのダメージをうけているそうです。仙台市のとなり町の名取では、農業用水路が渇いた為に急遽、名取ダムによる放水をし対応に追われたそうです。

隣県の山形県では、日照り続きの水不足のため夏野菜のひとつ胡瓜が出来が悪く市場に出せるような代物が無くかなりの量の胡瓜を処分しなければならないとニュースで報じられていました。

今年は、関東から以南の地域(九州、近畿)地方を中心とした大雨に伴う被害が続出したと言うのに東北は平均の降水量を下回る水不足に陥っています。

グスコーブドリの伝記今年の東北の夏は日照り続きの夏です。梅雨時期までは、適度の雨があり水稲の生育は順調でした。しかし、これからもこの雨のない日が続くと稲に実がなるかどうかが心配です。このような日が続いている所為か自分は、宮沢賢治と彼が書いた童話を思い出しています。それは、賢治が農業に専念した時の日照りの日や冷害を体験し、彼の描く理想の農業を描いた物語で「グスコーブドリの伝記」を思い描かなくてはいられませんでした。物語は、木こりの子として生まれたブドリが火山噴火による被害で職を失い、農業に従事た時に農学者と出会い様々な事や出来事に遭遇し成長している中で冷害に喘ぐ人々を救う為に火山の噴火を試みるという内容のお話です。1994年にアニメ化をされた事がありました。そして、18年経った今年に新しいスタッフによるアニメ映画化をされ大変な話題を呼び起こしました。物語の鍵となる火山噴火とは、賢治が経験した日照り続きの夏を意味して火山噴火に擬えたものです。奇しくも噴火は去年の大震災でもあり、今年の異常な夏を偶然にも表しているのではないでしょうか・・・物語のはじめでは、ブドリの生い立ちが描かれていて、その中でも冷害による飢饉が取り沙汰されています。この様に東北の地は昔から天候に左右されながら生きてきたと言うことがよく分かります。
宮沢賢治は、花巻の農学校に通う貧しい農家の子供らに農業は素晴らしい芸術だ等と言っていながら自分自身は苦労のないサラリーマンとして暮らしていることに負い目を感じて教師を辞めたそうで、この時の出来事が今年話題になった「グスコーブドリの伝記」を書くきっかけになったそうです。この事についてはまだまだ掘り下げていきたいので、勝手ながら次回にまたこの続きを語っていきたいと思います。

グスコーブドリの伝記